名古屋駅に下り立ったとき、空からはいつしかシトシトと雨が降り出していた。一望のもとに仰いだ名古屋城の金シャチの天守閣も、銀の雨の中だった。彼女らは駅で一番安いビニール傘を買い、雨の中の散歩も悪くないよね、と足どりも軽く歩き出したのだった。目的地は駅より徒歩で十分、時間はたっぷりあった。
しかし何が起こるかわからない、一歩先は闇のカオスのこの世界だった。 簡単に見つかって当然の筈の場所が、簡単には見つからなかったのだった! 堀川にかかる納屋橋を越えた辺りまでは順調だった。しかしまさかこんなにもビルが乱立していようとは、夢にも思わなかった! まるでコンクリートのビルの森のように、ビルはあっちにもこっちにも乱立していた。その中からたった一つのビルを捜し当てなければならないのだった。
文字数 5000文字 ショート作品です。