今年も余すところ、あと僅かになった。年の暮れ。琴美は居間と廊下の窓ガラ スをようやく拭き終えた。そしてホッと一息、火燵に当たりながら、午後の熱い お茶をゆっくりと啜った。窓越しに庭の枯れた芝生を見つめながら。それから空 模様を伺った。午前中は薄日が雲間から射しかけたりしていた。しかし午後にな ると、厚い雲が空一面を覆い隠してしまった。日本列島はシベリア寒気団にすっ ぽりと覆われて、今夜は一段と寒さが厳しくなると天気予報では言っていた…。 さて、と彼女は腰をあげた。冬の黄昏は駆け足でやって来る。近所の友達の家 へ遊びに出かけた娘のひまりも、そろそろ戻って来る頃だ。ひまりは小学一年。 まだあどけなさが残ってはいたが、時には生意気な口もきく。 やがて静かに雪が降り始めた。ひまりが窓辺に駆け寄って「お母さん、雪だ よ!」とはしゃぎ声をあげた。
文字数は1881文字です。お気軽にお読み頂ける?ベリーショートな作品です。