2025年は戦後80年にあたる年であったため、多くの媒体で、アジア太平洋戦争特集が組まれ、これまで知ることのなかった出来事がたくさん明らかになった。
しかし、戦後80年が経過しても、メディアは2つの問題をさりげなく避けていた。1つは靖国問題。もう1つは天皇制の問題である。本書では、この2つの問題に正面から向きあい、靖国神社と天皇制を多角的に批判している。
保守系・右翼系の人は、本書を読まないほうがよい。最後まで読めないと容易に想像できるからである。それほど、保守層には我慢のならない内容が書かれている。
本書が対象としている読者は、これから近現代史を学ぼうとする人である。よって、内容は入門編レベルである。
とはいえ、内容が浅いわけではない。なぜなら、参照した本のほとんどは、主に学術研究者の著述したものだからである。
戦後から現在に至るまで学術の世界では、靖国神社や天皇に関する多くの優れた研究がなされてきた。しかし、それらの内容が、一般的に知られているとは言い難い。
筆者は、優秀な大学生たちと話をしていても、かれらに十分な知識があると思ったことはない。
また、新聞やテレビでも、これらの研究成果がほとんど生かされていない。それどころか、保守層向けの情報だけが選択され、紹介されている。
筆者は、学術研究の成果を、よりわかりやすく一般曹に伝える橋渡しの役目を果たしたいと思い、本書の執筆を思い立った。
なお、筆者は、戦争時代の空気を知っている古老の方々からも、直接の会話により、アジア太平洋戦争の時代のことを多く学んだ。そして、当時は、国全体がカルト的な世界に包まれていたことを知った。
現代日本人は、かつてほぼ全国民が病的なまでのひどいカルト信者であったことを忘れようとしている。それは、危険である。現在、日本の政治が戦前に戻っていっていることを考えると、ここで、戦前の負の部分を学ぶことは重要である。
それに、正しい近現代史を知らないと、興隆著しい東アジア・東南アジアの人たちと、まともに付き合いができなくなる。よって、大学であまり勉強をしなかったビジネスマンにも本書を読んでいただきたい。
ちなみに、筆者は、アカではない。共産主義を憎む者である。よって、筆者の批判のベースになっているのは左翼思想ではない。そのベースは、近代デモクラシーである。