死後、自分が夢中になっていた現実主義的中世経営ゲーム『騎士夫人シミュレーター』に、夫人本人として転生してしまったオリビアは、眼前の光景に卒倒しそうになった。
舞台は王国最果ての未開の地。冬は長く、積雪はくるぶしを埋め尽くす。
拠点である荘園は古びて荒れ果て、腐った床板は踏むたびにぼろぼろと崩れ落ちる。外で大風が吹けば、部屋の中には微風が吹き抜ける。
食事といえば、食卓に並ぶのは歯ごたえだけは頑丈な干からびたパンか、味気ない燕麦の粥ばかり。雌鶏すら凍えきって、まったく卵を産もうとしない。
隣国からのならず者は凍りついた河を軽々と渡り、略奪に訪れる。小作農たちは怯えおののき、騎士である夫は夜明け前から防衛の巡回に出ざるを得ない。戦争の影が、常に命を脅かしている。
――これが、私の“新婚生活”?
属性を適当に設定しただけのNPC(ツール人夫)が夫に。
非酋の私が引いた最悪のマップが領地に。
ゲーム機能は、一つひとつクリアしなければ解放されない……
【初期クエスト:「荘園の探索」】
<クエスト内容>クエスト内容>
あなたの荘園には、ねずみの穴がいくつありますか?
地下室の三つ目の木の樽には、何が入っていますか?
さあ、探索を始めましょう!
<報酬>報酬>
経験値 +5
卵の生産効率 +20%