≪内容紹介≫
本書は、50年以上、「道草の山歩き」をしてきた経験を基につづったエッセー集である。「道草の山歩き」とは、計画を立てずに、足の向くまま、気の向くままに、山を歩くことである。山を歩きながらルートを決め、何をするかを決めるのである。気に入った場所では気が済むまで過ごし、歩き疲れたらその場所でいつまでも休み、眠くなったらそこで寝る。決して急がず、山を楽しみながら歩くのである。
そもそも、山歩きというのは、計画通りにはいかないものである。台風で道が通れなくなっていたり、道標が壊れて道が分からなくなっていたり、地図にはない道があったりする。また、捻挫して歩けなくなったり、つまずいて谷に落ちたり、道に迷ったり、低体温症になりかかったり、遭難しかかったりする。そのたびに、2度とそうならないように、対処の仕方を学び、装備を整え、体力・体調を整えて、また山歩きをする。
「道草の山歩き」をするためには、常に、予備の水・食料や非常装備を背負って歩かなければならない。このための重量は3キロ程度である。しかし、本来、予備の水・食料や非常装備は山歩きをするための基本装備である。なぜなら、山歩きは計画通りにはいかないからである。むしろ、予期しないことが起きるのが山であり、それを楽しむのが山歩きだからである。よって、私はいつも安全で安心な山歩きができる。また、人よりも山歩きを楽しむことができる。
人生も山歩きと同じである。計画通りにはいかないものである。予期しないことがたくさん起きる。だから、人生も足の向くまま、気の向くままに歩けば良い。人生も楽しく歩こう。
≪目次≫
第1回 今来た道が消えた
第2回 野営を楽しむ
第3回 山小屋ではお互い様
第4回 山の天気は変わらない
第5回 涸沢の紅葉を追って
第6回 山の歩き方は、グー、チョキ、パー
第7回 峠の定理
第8回 雨水を活用しよう
第9回 野山に咲く花を尊ぶ
第10回 道連れ
第11回 ナイヤガラの滝
第12回 大自然の聖域
第13回 確実に遭難する方法
第14回 冬の蝶ヶ岳は風が怖かった
第15回 山の事故は自己責任
第16回 山歩き事始めの始め(1)
第17回 山歩き事始めの始め(2)
第18回 山歩き事始めの始め(3)
第19回 なぜ山に登るのか
第20回 女性が山でうんこをする方法
第21回 軽登山靴と登山靴について
第22回 冬山用登山靴について
第23回 靴の選び方について(1)
第24回 靴の選び方について(2)
第25回 衣類について
第26回 基本装備について
第27回 食事について
第28回 テントについて
第29回 あなたは人間ですか
第30回 避難小屋利用山行の勧め
第31回 鎖やロープの使い方
第32回 2度あることは3度ある
第33回 ついに、靴をあつらえた
第34回 膝痛を直す方法
第35回 あつらえた靴を返品した
第36回 梅雨どきの北アルプス山行の勧め
第37回 ヤブ党の気持ちは分からない
第38回 なぜ道を間違えるのか
第39回 道を間違えないようにするには
第40回 道に迷わないようにするには
第41回 地図が読めるようになるには
第42回 北アルプスの中村新道を歩いていたら
第43回 冬の低山歩きについて
第44回 冬の高山歩きについて
第45回 アイスバーンでアイゼンが効かない
第46回 足ごしらえについて
第47回 「道草の山歩き」は安全で安心
第48回 ジョギングは山歩きの基本練習
第49回 山歩きはジョギングよりも疲れない
第50回 山歩きはアウトドアではない
第51回 「通行止め」は下山ルートでよく出会う
第52回 山の歩き方はナンバ歩き
第53回 登山技術をどのように習得するか(1)
第54回 登山技術をどのように習得するか(2)
第55回 梅雨時のハイキングの勧め
第56回 富士山は登る山ではない
第57回 紅葉がきれいになる条件
第58回 山道はゆっくり歩くものだ
第59回 夏の低山歩きは異常にのどが渇く
第60回 山でシカに出会ったら
第61回 山でクマに出会ったら
第62回 単独行はグループ山行よりも安全で安心
≪著者紹介≫
守屋孝敏(もりやたかとし)
神奈川県出身。山歩きを始めたきっかけは、小学生の時に好きだった遠足や林間学校が中学生になったらなくなってしまったからである。そこで、1人で、あるいはクラスメートと山歩きをするようになった。小学生の時に遠足が好きだったのは、道草を食うのが好きだったからだと思う。と言うのも、家が学校のすぐ裏にあって、授業が終わって真っすぐに家に帰ると、すぐに着いてしまうのでつまらない。それで、わざわざ遠回りして家に帰った。
中学・高校時代は丹沢・大山を歩き回った。山が好きだったので、信州大学に入学したが、仕送りゼロで金がなかったために北アルプスには1度も登れなかった。貧乏学生にとっては、北アルプスは憧れの山であった。松本の学生寮(コマクサ寮)の近くには、カラマツで囲まれた草地(現在のアルプス公園)があって、そこにはキジがたくさんいた。そこで、キジを獲って食料にしようと思い狩猟免許を取った。中古の単発銃を1万円で購入し、銃を担いで松本周辺の低山を歩き回った。
大学を卒業してから横浜に引っ越し、土日は丹沢・大山を歩き、5月の連休、夏休み、冬休みなどは北アルプス、中央アルプス、南アルプス、八ヶ岳、尾瀬などを歩いた。現在74歳になるので、山歩き61年目になるが山歩きを続けている。