さよなら、残酷な世界──22歳で末期がんの老婆。それが早坂夏希。呪いのような病気によって人生を奪われ、心を閉ざして生きてきた。そんな人生もいよいよ終わる。最後の夏――だから、夢のような日々を過ごした思い出の島で、ひとり静かに過ごしたい、そう思ったのだ。
島を訪れた夏希は、思いがけず、魅力的な青年に成長した初恋の人・ヒロと再会する。だがヒロは老婆になった夏希に気づかない。そして、ヒロのそばには美貌の女性が……。
それでも、彼らと過ごす日々は、まるで魔法のように素敵だった。ヒロへの複雑な想いを抱えながらも、夏希は心を開き、生きるよろこびと輝きを取り戻していく……。
あきらめと嫉妬、過去と未来、絶望と希望のあいだで揺れながら、夏希がたどり着いたのは、果たして「しあわせな結末」なのか、それとも――
「魔法」は彼女に何をもたらしたのか? 真夏の離島で繰り広げられる、哀しい願いの物語。
*『夏の魔法』(東京創元社・ミステリフロンティア)を加筆修正し改題
* Amazon.co.jp『Best Books of 2006 エディターズ・ピック』文芸ベスト選出作品